【開催レポート】ボランティア団体 ココつナ〜Share Hearts〜の活動とは?【めいわ観光まちづくり研究会】 

めいわ観光まちづくり研究会とは ~まちの活動や課題を知り、つながり、可能性を広げる~

この研究会は、明和町への愛着と誇りを育むことを目的に開催しています。 観光を通して訪れる人を増やすためにも、まずは住民自身が地域の魅力を知り、好きでいることが大切。そんな考えのもと、町内の活動や課題を共有し、つながる場を目指しています。

いま明和町には、移住などで若い世代も増えつつあります。 しかし一方で、全国的な課題である人口減少や少子高齢化に加え、新しい住民と既存のコミュニティの希薄化など、地域が抱える課題は複雑です。

だからこそ、町内で地域の人やまちづくりに取り組む人たちと「知り・学び・つながる」場が必要だと考えています。

これまで、財政や子育て、体験コンテンツなど、明和町のまちづくりに関わる様々なテーマで学びを深めてきました。 そして今回は、研究会のメンバーの実践をさらに深く知る「活動共有会」として開催しました。

行政任せにしない。「自分たちごと」で地域をつなぐ『ココつナ』とは?

今回登壇いただいたのは、2023年1月に設立されたボランティア団体「ココつナ〜Share Hearts〜」(以下、ココつナ)のみなさんです 。 「ココつナ」という名前には、「ココでつながる」「ココからつなげる」「ココロもつながる」 という3つの想いが込められています 。

現在23名のメンバーが在籍し、行政や議会、そして地域住民をつなぐ「架け橋」となるべく活動しています 。 活動の根底にあるのは、「困っている方の声をまずは聞くことからスタートする 」 という姿勢です。 小さなSOSや気づかれにくい想いを「気のせい」にせず、チームで共有して形にしていく 。そんな「人の声を見過ごさない」強い想いを持ったメンバーが集まっています。

組織は「動物愛護」「福祉」「子育て」の3つのチームと、全体を支えるサポートチームで構成されており 、それぞれの得意分野や当事者としての実体験を活かしながら、行政の手が届きにくい地域の課題解決に取り組んでいます。

「ココつナ=猫の保護団体」? そのイメージを覆す、社会課題への本気のアプローチ

「ココつナといえば、猫の保護活動をしている団体」 そんなイメージをお持ちの方も多いかもしれません。しかし、今回の発表で明らかになったのは、彼女たちの活動が「明和町の社会課題そのもの」に真正面から向き合っていることに、改めて気づかされました。

研究会では、3つの専門チームと会計担当のメンバーから、それぞれの「現場のリアルな声」が共有されました。

1. 動物愛護チーム:「猫の問題」は「人の孤独」の問題だった

「動物の命を大切にする町に」 を掲げるこのチーム。 野良猫の不妊去勢手術(TNR➕M)地域猫活動や里親募集などを行っていますが、現場で見えてきたのは、猫の問題の背景には「高齢者の社会的孤立」があるという現実でした。 独居の寂しさから餌を与えてしまい、繁殖力の強さ から猫が増えすぎて生活が崩壊してしまう。その結果、近隣トラブルとなり、飼い主が地域でさらに孤立してしまう悪循環が起きています。 彼女たちは、単に猫の手術をするだけでなく、行政や福祉と連携して「人」の暮らしに寄り添うことが解決につながると考え、これが単なる動物の問題ではなく解決すべき「福祉の課題」であることを訴えています。

2. 福祉チーム:障がいがあってもなくても、「そのままでいられる」場所を

「どんな方にもやさしい町に」 を掲げるチームは、看護師などの専門職や当事者家族で構成されています。 高齢者に向けては、介護予防や生きがいづくりにつながる足の健康づくり(フットケア)を通じ、「生きる土台を整える」活動を実践。敬老の日には感謝を伝えるイベントも開催しています 。また、「障がいを知ることから、やさしい町は始まる」という想いのもと、誰もが当たり前に混ざり合えるインクルーシブな社会を目指し、そのきっかけとなるイベントを開催。さらに、助ける側の意思表示である「フォーユーマーク」の普及にも取り組み、ハード面だけでなく心のバリアフリーを広げています。

3. 子育てチーム:現役ママだからこそ作れる「助けて」と言える空気

「子育てしやすい町に」を掲げるのは、今まさに子育て真っ最中の現役ママたち。 専門家ではないからこそ、同じ目線で「孤独を感じやすい親」に寄り添えます。 一人で抱え込み、自分を追い込んでしまう前に、親が「助けて」と笑って言えるような空気感。そして、子どもからの小さなSOSを見逃さない地域の目が必要だと語られました。 親も子も、ありのままの自分でいられる安心感を育むことで、「子どもたちが誇りに思える町」を次世代へつないでいくことを目指しています。

4. 持続可能な活動のために:想いを「形」にし続ける運営

活動を継続する上で欠かせない「資金」についても、活動の裏側にある地道な工夫や想いが丁寧に語られました。不妊手術などには町の補助金制度もありますが、実際には数千円から一万円近い不足分が発生します。その不足分を団体が募金等から補填したり、相談者の方と相談しながら工面したりと、現場では地道な資金繰りが続いています。 それでも「お金を集めることが目的ではなく、想いを形にする手段」と捉え、託された支援を大切に活動へ繋げる。その真摯な運営姿勢こそが、地域からの多くの支援や共感を集める理由なのだと強く感じさせました。

「住んでよし」が「訪れてよし」をつくる。持続可能な観光の土台とは

本来、地域の深刻な課題に向き合う活動は、どうしても重いテーマになりがちです。しかし、研究会の締めくくりに明和観光商社 代表理事の千田が話していた言葉が、まさにココつナの皆さんの凄さを表していました。

「彼女たちが向き合っているのは、本来なら非常に深刻で、目を背けたくなるような地域の課題です。しかし、それを決して暗くならず、むしろ『楽しく、元気に』周りを巻き込みながら解決しようとしている。そのパワーこそが本当に素晴らしいと感じます」

現在、明和町が策定を進めている次期観光進行計画の中でも、「住んでよし、訪れてよし、担ってよし」というビジョンが検討されています 。 観光地としての魅力を高めるためには、立派な施設を作るだけでなく、まずは住民自身がこの町を「住んでよし」と誇りに思える土台があることが何より大切です 。

ココつナのみなさんが広めている、助ける側の意思表示である「フォーユーマーク」が溢れる町 。 お互いの「小さなSOS」を見過ごさず、手を取り合って地域の課題を「自分たちごと」として解決していく町 。 こうした住民一人ひとりの「やさしさ」や「安心感」の積み重ねこそが、訪れる観光客にとっても最大の安心感となり、「また来たい」と思わせる究極の観光資源になるのだと、改めて気づかされる時間となりました 。